先日酒にまつわる名言集の小冊子をもらい、電車の中で噴出したり、苦笑いしたり、感心したりしている。たまには息抜きの巻頭言ということで・・・
酒という文字を見てさえ嬉しきに、呑めという人、神か仏か。
この気持ちは分りすぎるくらいに分る・・・土井晩翠の言だとか。
ほろ酔いの あしもと軽し 春の風
今年の春はそんな気分にはとてもなれなかったが・・・。でもこの句は、毎年のように 水害などの天災に苦しむ越後に暮らした良寛の作だ。
両人対酌すれば山花開く、一盃一盃複た一盃
酒は知己に逢えば千鐘も少なし
気のあった友人と酌み交わせば山一面に花が咲く。話は無限に広がる。表現のスケ ールの大きさにつられてこちらの心もつい調子づいてしまう名言だ。
ふところが痛いのは、最初の一杯だけである。
この言に頷いてしまってはならないけれど・・・。名言集は酒を賛美するものばかりで あるはずがない。以下は酒飲みへの戒めであるが、比較的穏やかなものだけを選ん だ・・・。
酒には二つの欠点がある。水を加えれば味が落ち、水を加えなければ人が堕落する。
度の高い研ぎ澄まされた酒の味わいは格別であるけれど、急激な酔いとはあまりに 刺激的な快楽だ。
大体お酒のみには二種類ありますね。酔いたい人と飲みたい人とです。
自分は、酔いたい6割、飲みたい4割くらいだろうか・・・と言い訳したくなるが、どうも それは2つに1つしかないと断言されているようだ。
人は酔中に真実を吐く
本心を明かすこと自体が悪いことではないだろうけれど、酔いの中では心の内を明 かすタイミングを制御できないところに問題がありそうだ。
酔中に書状を人に送るべからず。
酔っているときほど余計な言を口走るものだから、ご尤もな忠言である。
酒は呑んでも呑まるるな
山口五郎先生は学生時代にお母様から一度だけ、このようにお説教されたそうだ
が、私は何回母に言われたことか・・・。
酒の酔いと音楽の陶酔を、私は比べて考えてみることが多い。がしかし大きな発見があったわけではない。でも概ね共通することが多いように感じている。味の良さだけで、酔うことのない酒も音楽もつまらないが、陶酔はその質と程度を間違えるととんでもない事になりそうだ。いつの間にか年末の予定調整が始まった。これからの宴でそんなことを懇談してみたいと思っている。
最後に1つ、妙に気に入った名言をお供えして、今月の駄文を締めくくる。
酔った男は神と語り合う